50代・60代の起業に共通する「成功の法則」とは?

  • 2024年1月18日
  • 2024年9月18日
  • コラム

前回の記事では、自分らしい働き方を見つける方法についてお話ししました。そこで今回は50代・60代の起業を成功させる法則について考えていきたいと思います。

これまで、起業をサポートするファーストブランドが運営する「マイベストプロ」に参画していただいた個人事業主の方は、約14年間で3000名に上ります。実は、その中の約半数が50歳以上の方々なのです。

私たちは、これから起業しようとする50代・60代の方々の背景や事情を鑑みながら、ひとりひとりのファンづくり、そしてそれに欠かせないデジタルマーケティングの支援を行ってきました。

そこで分かったことが2つあります。

1. 自分の強みを武器にして起業することで、いくつになっても自分の理想の人生を送ることができる
2. インターネット普及のおかげで、勇気を持って一歩踏み出せば誰でも起業できる
シニアだからといって遅いということはありません。実は、あなたが50歳以上であることが、起業を成功させるのにとても有利なのです。

あなたの経験が活きる!50代・60代の起業の「強み」とは

これからご紹介するのは、50代になってからの体験をベースにした事業を組み立て、次の一歩を踏み出すアドバンテージを見つけた事業者の方です。シニア起業の成功にどんな秘訣があるのか見ていきましょう。

株式会社明和企画 武田さわ子さん
乳がんを発症し、闘病体験を原動力に60歳で起業。医療向けのウィッグサロンを開設し、抗がん剤治療中のアピアランスケアとウィッグの情報提供を行う。

特技も資格も無く、ごく普通の主婦であった私に人生最大のピンチが襲いかかったのは52歳の時でした。乳がんの宣告です。一時は絶望に苛まれましたが、「死」を意識したことで、今まで当たり前だと思っていた生活が実は奇跡の連続だったのだということに気付かされました。

4回の手術を受け抗がん剤・ホルモン剤など治療は10年にました。常に死を意識し、副作用に悩まされながらも生きていることを実感しました。そしていつしか、自分のがんの経験を、今不安を抱えるがん患者の役に立てたい、助けてもらった命で社会に恩返しをしたいという思いが少し芽生えていました。治療が落ち着いて改めて自分の闘病生活を振り返った時、一番辛かったのは抗がん剤治療での脱毛。そんな状況でも自分らしい生活を送ることができたのはウィッグのおかげでした。

当初はウィッグの素材も作り方も価格も知らず、どこで購入すればいいのかすら分かりませんでした。病院の待合室で手にしたパンフレットを頼りに思い切ってウィッグのサロンに向かいましたが、勧められたウィッグは予算を大幅に超えており、購入することができなかったという苦い思い出があります。

そんな時に出会ったのが、ウィッグプロデューサーの鍛紀子さんです。彼女の作るウィッグは被り心地が良く手入れも簡単で、しかもおしゃれなスタイル。このウィッグがあれば自分らしく居られる気がして、抗がん剤治療が始まる前からウィッグを被りました。治療が始まって髪が抜けてもヘアスタイルは変わりません。誰も、私が脱毛していることや抗がん剤治療をしていることに気がつきませんでした。がん治療を隠すつもりはありませんが、周りの人に心配はかけたくありませんでした。ウィッグのおかげで人目を気にせず、友人たちとも以前と変わらない気持ちで交流できました。人と交流することで気持ちがリフレッシュされる時間が、私にとって何よりも大切な治療だったのです。

抗がん剤の影響で脱毛したらどうしよう。どんなウィッグを使えばいいのだろう。一体いくらぐらいするのだろう…。

かつて私が不安を感じていたように、治療目前の不安を抱えた患者さんに私の乳がん経験を伝え、似合うウィッグを見つけることで治療にも毎日の生活にも前向きになれるお手伝いがしたい。がんを経験した私だからこそできることだと思い、起業を決意しました。そこで、真っ先にウィッグプロデューサーの鍛紀子さんに相談しました。私がそれまでと変わらない日常生活を送り辛い治療を乗り越えたきっかけを与えてくれたウィッグの力で、がんと生きる患者さんの助けになりたかったのです。

鍛さんは私の思いを真摯に受け止め、がん治療で脱毛するという女性にとってとても辛い時を「ウィッグで支えましょう」と言ってくれました。そして私のがんの経験を元に、治療中の頭皮に負担が少なく、手入れが簡単でおしゃれなスタイルのウィッグがプロデュースされることになったのです。

60歳にして起業をすると決めてから、人生で初めての経験の連続でした。ウィッグを販売するサロンの開設場所、家賃や光熱費、人件費など運営にかかるお金のこと、そして利益のことを考えなければなりません。パンフレットやホームページも作りました。苦労もありましたが、世界でたった一つの私のブランドが誕生するというワクワクするような体験でした。そして、こんなにも起業することを前向きな姿勢で楽しめたのは、私が紹介するウィッグを待っている人が居る。その人に私の思いを届けたい。その一心と家族や友人をはじめとする多くの方に相談し、アドバイスをもらい、助けられたおかげです。

(以上、武田さわ子さんエピソード)

50代・60代からの起業を成功させるために

50代・60代の起業目的は、利益だけではありません。人生の集大成として、

・自分がやりたいことへの挑戦 ・自分ならできることの実現 ・家族や友人との関係性の再構築 ・社会貢献

このような目的が挙げられるのではないでしょうか。

自分を見つめ直し、人生100年時代と言われる昨今、生きがいを見つけることができれば若々しさと心身の健康を保つきっかけにもなります。限りある命、悔いのないようにやりたいことに挑戦する人生って素敵だと思いませんか?

50代・60代の起業の実現に必要なこと

・「誰に」「何を」「どうしたいのか」という3つの目的を明確にすること ・誰にも負けないものを見つけること ・人脈を駆使すること
まずは、漠然とした「起業したい」という思いを整理し、あなたの経験を踏まえて何をしたいのか、誰に向けてなのかを絞り込みましょう。
そして、誰にも負けないものを見つけましょう。技術や知識、資格である必要はありません。熱意や気持ち、そして私たちシニアにはこれまでに培った経験や人脈があります。

それから、今まで構築してきた人間関係を見直してリストアップしてみてください。学生時代の知人が、思わぬ特技や資格や人脈を持っているかもしれません。その中にきっとあなたに協力してくれる人がいるはずなので、自分のやりたいことを実現するために周りを巻き込む勇気を持ちましょう。

まずは身近な人に声をかけて、相談したりアイディアを求めることをお勧めします。社会貢献がしたい、誰かの力になりたい、というあなたの思いに突き動かされて力になってくれる仲間を見つけられると非常に心強いです。

そして、家族や友人に、今あなたが思っていることや理想をどんどん話すべきです。あなたが実現したいことを口に出すことで、誰かの意見をもらう事があります。起業に向けて行動する上で何か行き詰まった時に、原点に戻るきっかけや自己修正のきっかけを与えてくれるでしょう。

人生の経験が長ければ長いほど、自分の感覚だけで物事を判断してしまいがちです。これは経験豊富である証ともいえますが、起業する上で客観的な意見を受け入れ、取り入れていくことはとても重要です。

自分の特技を活かせる分野やこれまでのキャリアの延長線上にあるもので起業をしようとすると、ご自身のこだわりがあるかもしれません。 しかし、学びの姿勢を大切にし、何事にも興味を持って進む人は着実に起業を成功させます。

50代・60代の起業後のポイントと、起業して得られるもの

起業してすぐは、採算を取ることより勉強に注力する期間も必要です。資格勉強など、専門的な知識を学ぶのも良いでしょう。自分がどういったことをユーザーに伝えたいか、儲けだけではない部分を客観的に見つめて足りない部分を補いながら事業計画を練ることがビジネスを成功させる秘訣です。

セミナーや講演会、交流会に出席して情報収集を行うこともお勧めします。そう考えるとやるべきことは多いですが、シニアになっての起業だということを忘れてはいけません。信頼できる専門家の力を借りたりサポートを利用しながら、体力的に無理のないようにしましょう。

自分の思いを形にした起業ができるのは、人生の経験が豊富なシニアならではの特権です。お金儲けのためだけではなく、社会貢献や、誰かの役に立てたという実感から、事業そのものが生きがいになります。

人生100年時代と言われる今、この先の自分の人生をどうデザインしますか?
何をしたいのか、自分にできることは何なのか考えて、起業によって人生をもっと豊かにしませんか?