定年後に役立つ資格は?男性、女性にも有利な役立つ資格

  • 2019年5月28日
  • 2022年8月22日
  • コラム

資格を生かして定年後のセカンドライフの可能性を広げる

時代とともに人生も多様化しています。 日本人の平均寿命も上昇を続けており、会社員として長い間働き60歳の定年を迎えた後も、のんびりと毎日を過ごすのではなく、新しいことを始める人も増えてきました。 特にサラリーマンとして働いた人は、仕事を通じて得たスキルや人脈を生かして、定年後に自分がやりたい業種の仕事に再就職したり、早期退職をして起業する人もいます。 子育てを終え、経済的にも余裕が出てきたこの時期、退職後の自由な時間で新しい仕事を始めようかと思ったとき、若い頃に取っていた「資格」が、そのチャレンジを後押ししてくれることがあります。 資格は、自分のスキルを証明するもので、起業やフリーランスとして働くとき、自分の強みとしてアピールすることができます。そしてクライアントにとっても、相手の信頼度を判断するための指標になるメリットがあります。 若い頃なんとなく取った資格が、何十年もたってから新しい仕事を始めるときに大いに役立つことがあるのです。資格は、定年後のセカンドライフで、新しい自分を実現するツールとして生かせるものなのです。

資格は使って初めて意味を持つ。使わないと意味がない

資格は、学生時代に進学や就職を有利にするために取得したり、会社員時代に必要に応じて取得したもの、個人的にスキルアップを目的に勉強をしてきたものなど、取得の経緯はさまざまです。 また、定年後の起業を見据えて40代、50代から計画的に勉強をして、仕事と両立させながら資格取得に励む人もいます。 定年という節目を迎えるにあたり、今までの自分を振り返り、残された時間と自分の可能性を試す最後のチャンスは60歳までと言ってもいいでしょう。 このタイミングで持っている資格を使って、あるいはこれから資格を取って新しい仕事を始める人が増加しています。 資格は、使わなければ「ただ持っているだけ」のものですが、自分の可能性を試すために使えば自分のキャリアの幅を広げることにつながります

資格には国家資格、公的資格、民間資格がある

資格は大きく分けると3種類あります。 (1)国家資格 国が認めた資格で、資格試験が「法によって定められているもの」です。 信頼度や難度も高く、大学や専門学校などで学び、一定の実務経験や研修を経て、まず資格試験の受験資格を得た後、試験に合格して資格を得ることができるものが多いのが特徴です。 国家資格は293種類(2003年1月1日現在)あります。 主な資格 医師、薬剤師、建築士、栄養士、弁護士、税理士、行政書士、保育士、あん摩マッサージ指圧師、社会福祉士、フォークリフト運転技能者、危険物取扱者、ガス溶接作業主任者など (2)公的資格 文部科学省や経済産業省などの官庁や大臣が認定し、民間団体や公益法人が実施するものです。 一般的な民間資格と比較すると受験者が多く、就職や転職において公的資格を採用条件にしている企業も多くみられます。 主な資格 簿記検定、秘書検定、実用英語技能検定、介護職員初任者研修、色彩検定、販売士検定、准看護師、手話通訳士、CADトレースなど (3)民間資格 民間団体や企業が試験を行っているもので、法的根拠によらないものです。 民間資格は個人でも作れるので、その数は3000種類あるとも言われています。そのため認知されていないものもたくさんあります。 内容によっては、有効期限がありその都度、取得のし直しが必要なものもあります。 主な資格 TOEIC、ベンダー資格、診療報酬事務能力試験、証券アナリスト、産業カウンセラー、ネイリスト技能検定試験、ソムリエ、アロマテラピー検定、犬訓練士

60代前に人気がある資格は「趣味」よりも「現実的なもの」

定年前の人が取得した資格には、どのようなものがあるのでしょうか。 ある、通信教育会社による調査では、この年代の人たちが取る資格は、余った時間で趣味を楽しむための資格だけではありません。 女性に人気がある介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格は、高齢の親の世話や介護について正しい知識を学べるメリットがあります。 このような介護系の資格は、取得すると実生活でも役に立ち、収入源にもなるので費用対効果が大きい魅力的な資格と言えます。 介護職に代表されるような、自分自身が抱える問題を解決する「現実的な」資格を取るのは、この年代の特徴と言えます。 男性は、これまでのキャリアを生かして、独立してコンサルティングやアドバイザーのビジネスを始めるべく、その分野に役立つ資格を取る人が多くなっています。 具体的には、簿記の資格や社会保険労務士宅地建物取引士ファイナンシャルプランナーなどです。 60代前後から資格取得をした人たちは、男女とも次の3つの目的のどれかに該当しています。

  1.  自分の好きなことや趣味を深め、それを仕事にして収入も得たい
  2.  親の介護の仕方といった実生活に直結した「現実的な」悩みを解決する知識を得て、収入を得たい
  3. 再就職や起業を目指すためにビジネス分野の資格を取りたい

定年世代におすすめの資格とは

定年世代が比較的取りやすく、仕事も始めやすい国家資格には次のようなものがあります。 1. 調理師 厚生労働大臣指定の調理師養成施設を卒業すれば調理師免許を取得できます。 もしくは、飲食店や給食センターなどで、1日6時間以上・週4日以上勤務し、2年以上の実務経験を積み、勤務先の店長や責任者の印鑑がある「実務経験証明書」を提出して調理師試験を受け、合格すれば免許が交付されます。 試験内容は、公衆衛生学、食品額、栄養学、調理理論、食品衛生学、食概論の6科目から4者択一のマークシート方式で出題、正答率6割程度で合格します。試験は各都道府県で実施され、合格率は6割程度です。 2. 介護福祉士 介護施設、訪問介護事業所などで要介護者に対し、食事や入浴などの介護サービスを提供する仕事です。体を動かすことが好きな人に向いています。 3年以上の実務経験を経て、実務者研修を終えれば学歴に関係なく試験を受けることができます。合格率は7割程度です。 3. マンション管理士、管理業務主任者 この2つの資格試験は2001年にスタートしたばかりです。 仕事の内容は、マンションの管理組合やマンションの住人および所有者などからマンションについての問い合わせがあったとき、アドバイスを行います。 マンションに関する専門知識は、自分自身がマンションを購入する際にも生かすことができます。 日本には500万戸以上のマンションがあり、築30年を超えて今後大規模修繕が行われていくと言われています。これらの業務がスムーズに行われるよう、管理組合の運営や建物の構造上の技術的な問題に対処するなど、マンション管理士・管理業務主任者の業務は多岐にわたります。 マンションの件数が増加していることから、しばらくはマンション管理士の人手不足が予想されるため将来性が期待できる資格の1つと考えられています。 2つの仕事の違いは、マンション管理士は、マンションで発生するトラブル解決のコンサルタント業務をするのに対し、管理業務主任者は、それらに加えてマンション管理会社の従業員として、マンション管理組合に管理状況の報告をしたり管理委託契約の内容を説明するといった業務も担っています。 マンション管理会社では、一定数の管理業務主任者の設置が義務付けられているため、これらの資格を持っていれば再就職がしやすいメリットがあります。 しかし、この資格を生かして収入を得られるかどうかは、資格を持つ人それぞれの努力によって変わってきます。 マンション管理組合をクライアントとして報酬を得る形で仕事を拡大していければ、高収入も期待できる仕事と言えます。 マンション管理士試験の合格率は8.0%(2016年度)で、内訳は男性89%、女性11%です。 管理業務主任者試験は、マンション管理士の資格を持っていれば一部免除され、7割以上の正答率で合格します。合格率は20%台で推移しています。 4. 行政書士 官公庁に提出する書類についての相談だけでなく、書類作成・提出の代行業務を行います。公的書類の作成や提出は、細かなルールがあり一般の人にはわかりにくいことから、手続きの煩雑さを解消したい人も多く、ニーズの高い仕事です。 この仕事は場所をとらず、資金もさほど必要とはしません。自分のあいた時間を使ってできる仕事のため、定年後でも始めやすい職業と言えます。 試験の合格率は実施年度によりばらつきがあり、10%前後です。 5. 社会保険労務士 社会保険や企業の人事、労務に関するスペシャリストとして、その分野の事務手続きや相談、コンサルティング活動、給与計算などを行います。 保険や年金制度についても取り扱いを行うので需要が高い仕事ですが、受験者数が増加しているので、競争も激しくなることが予想されます。 受験には、学歴、実務経験、その他の国家試験合格のいずれかにおいて条件を満たさなければなりません。 合格率は10%前後ですが、合格後も2年以上の実務経験と講習の受講が必要です。 6. 宅地建物取引主任者 不動産の売買や賃貸の仲介業務を行う際に、土地や建物についての詳しい説明を行います。 建築会社、金融機関、不動産管理会社などと、仕事ができる場所が多いメリットがあります。 受験資格の制限がないため受験者数が多い人気の資格です。合格率は約15%です。

資格取得は若い間に済ませておこう

資格にはさまざまな業種がありその数も膨大です。一般的に資格の難度が高くなるほど、受験資格にも制限があり合格率も低くなります。 資格を使って収入を得たいと考えた場合、その勉強をするために専門学校へ通うか通信教育を利用する方法があります。いずれもある程度の期間や費用が必要になります。会社員としてすでに働いている人は、仕事の終わった夕方以降や休日をその勉強に充てることになります。また資格試験に合格するには、知識の暗記学習が欠かせません。働きながら資格を取るには、体力が必要だとも言えます。 以上のことから考えれば、<エm>資格を取るのは定年間近になってからというよりは、若い頃からチャレンジしておく方が負担は少なくてすみます。会社によっては、その業務に必要な資格試験の受験費用や学習費用を支援してくれるところもあるので、在職中に取れる資格があれば、積極的にチャレンジしておくのがおすすめです

資格があれば再就職がしやすいとは限らない

資格があれば、再就職や起業に有利になるかと言えばそうとは必ずしもそうとは言えません。再就職では資格取得者に限定した求人もありますが、仕事は専門的なスキルに加えて、コミュニケーション能力や仕事を効率的に進めるマネジメントスキル、そして職場仲間との協調性も必要です。 高齢者にありがちな保守的で柔軟性に欠ける態度は、どの職場においても通用しません。定年後の再就職も大卒で就職活動する場合と同じで、採用側は、資格の有無を含めた職能の専門性だけでなく、人間性など幅広い観点から総合的に審査を行います。採用側が求めるニーズに合うことが大事で、資格はその1つにすぎません。 資格は、再就職を始めたとき、ない人に比べれば職探しはしやすいメリットはあるものの、採用を保証するものにはなりません

資格を生かした定年後の起業 収入減は当たり前

起業においても同じで、資格があり専門知識があってもすぐに仕事が軌道に乗って収入が得られるわけではありません。資格を生かして起業する人は多いのですが、顧客を獲得するための営業力やプレゼン能力、そして自分の会社の経理業務を行うための知識も必要になります。経営者になれば、資格を使ってする仕事以外にも、たくさんの業務をこなさなければいけません。 特に独立したばかりの頃は、客はほとんどいないので、仕事をとる努力が必要です。時にはタダで仕事を引き受けて信頼関係を作り、次回の取引へとつなげていくといった戦略が必要になることもあります。 最初は満足な収入は得られませんが、このような地道な営業活動をして自分の仕事の質を評価してもらい次の依頼へとつなげていくのです。そしてうまくいけば他の顧客の紹介につながり、少しずつ業務が増えていくのです。そのため、起業する人は、最初から高収入は期待できないことを肝に銘じておかねばなりません。前職よりも収入が下がるのは当たり前だという覚悟が必要です。 また職種によっては、単純な仕事を続けているだけでは顧客が離れていくこともあります。例えば調理師免許を生かしてカフェをオープンしたなら、新メニューの開発もしないと客数増加につながりません。 このように自分の会社を円滑に運営するには、資格以外にも必要な知識や業務がたくさんあります

まとめ

若い頃に取った資格を使ったり、定年後に起業する目的で新しく資格を取得する人など、資格は第2のキャリアを築くための強力なツールとなります。資格は持っていれば再就職や起業するための強みにはなりますが、それだけで仕事がうまくいくわけではありません。 最終的には営業力や社会性といったすべての要素がバランスよく備わっており、顧客獲得のために損も辞さない覚悟で仕事に努力できる人が、生きがいややりがいを感じられるセカンドライフを確立できるのです。 そして、新生活は現役時代と同じ収入を得るのは難しいことも覚悟しておきましょう。