定年後のアルバイトでおすすめは?税金、確定申告など

  • 2020年3月4日
  • 2022年8月22日
  • コラム

定年後の就業 その実態は?

内閣府が作成した令和元年版「高齢化社会白書」によると、60歳以上の人で「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答した人の割合は約4割でした。「70歳ぐらい、もしくはそれ以上」と答えた人と合わせると、60歳以上の約8割が就業意欲を持っていることがわかっています。 実際に働いている高齢者にその理由を尋ねたところ、男性の場合であれば55~64歳においては、「経済上の理由」の割合が高く、65~69歳に入ると「生きがい・社会参加」「頼まれた」といった理由も上昇してきます。女性は、どの年齢層も「経済上の理由」を第一とする割合が高いのですが、男性ほど多くはなく、「生きがい・社会参加」「健康上の理由」も同様に高くなっています。 年齢階層別の高齢者の就業率は次のようになっています。

年齢 就業率
60~64歳 68.8%
65~69歳 46.6%
70~74歳 30.2%
75歳以上 9.8%

令和元年版  高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況「年齢階級別就業率の推移」より 60歳以降も7割近くの人たちが、実際に働いています。 65歳以降、その割合は半数以下となりますが、今後、高齢化がさらに進むことや、企業の定年延長や、年金受給開始年齢の繰り下げが奨励されている背景を考えると、65歳以降の就業率は上昇する可能性があります。

60歳以降の雇用形態と収入について

60歳以降の働き方は、大きく2つに分かれます。「今までと同じ企業で再雇用制度を利用する」か、「いったん定年退職をし、自分で職探しをする」かのどちらかです。 前者では、同じ企業で働き続けることができるメリットがある反面、職種の変更や、勤務条件、待遇の見直しがあります。年収は、60歳前までの収入と比較して、2~5割まで低下する覚悟が必要です。 自分で就職活動をした場合、60歳以降の求人は、給与待遇の低い「非正規職員・従業員」が多くなっています。 非正規職員とは定期的に雇用契約更新を伴う雇用形態のことで、嘱託社員、契約社員、派遣社員、パートタイムやアルバイトなどがあります。非正規雇用においても、給与は60歳までの正社員の給与と比較すると少なくなります。 60歳以降の雇用形態で多いのは、正社員よりも非正規職員となっています。 男女別・年齢層別に非正規雇用者の割合をみると、次のようになります。

男性年齢 非正規雇用の割合
60~64歳 50.5%
65~69歳 70.8%
70~74歳 75.0%
75歳以上 72.4%
女性年齢 非正規雇用の割合
60~64歳 77.1%
65~69歳 83.3%
70~74歳 82.5%
75歳以上 70.8%

(令和元年版高齢社会白書 平成30年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況 年齢別雇用形態別雇用者数及び非正規雇用者率(役員除く)) 60歳以上の男女あわせて、7割以上が非正規雇用で働いているといえます。 非正規雇用を選んだ理由は、 「自分の都合のよい時間に働きたいから」 男性30.5% 女性37.2% 次いで 「家計補助・学費などをえるため」 男性17.5% 女性26.3% 「専門的技能などをいかせるから」 男性16.9% 女性8.0% 上記以外にも「家事・育児・介護との両立がしやすいから」(6.6%)と答えた女性もいました。 介護など、削れない家事の時間も確保しつつ、すき間時間で体力的にも無理なく働いた収入で生活したいと考える人が多いことがわかります。 非正規雇用は、このような世代のライフスタイルに合った雇用形態と言えます。 (総務省統計局、統計トピックスNo.113 「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」

60歳以降はアルバイトやパートタイムで働く人が多い

アルバイトやパートタイムが、非正規職員の中でどれぐらいの割合を占めているかみてみましょう。 60~64歳 非正規労働者数:250万人 アルバイト・パート数:138万人(非正規労働者の55%) 65~69歳 非正規労働者数:218万人 アルバイト・パート数:146万人(非正規労働者の67%) 70歳以上 非正規労働者数:140万人 アルバイト・パート数:100万人(非正規労働者の71%) (総務省統計局 平成30年労働力調査年報より) 65歳を境に仕事を継続する人は、アルバイトやパートタイム待遇で働く割合が高くなっています。

シニア従業員が多いアルバイトの職種と時給について

定年退職後のアルバイトで人気の職種を男女別に紹介すると次の通りです。

男性 1位:オフィスワーク 2位:軽作業・製造・清掃 3位:警備 4位:営業 5位:販売・接客・サービス
女性 1位:オフィスワーク 2位:販売・接客・サービス 3位:軽作業・製造・清掃 4位:医療・介護・福祉 5位:教育

(ミドルシニアマガジン「老後の使途と、何にする? シニアに人気の仕事ランキング)

次に2018年度とのアルバイトの時給相場と対前年増減率を紹介しましょう。 60代前半 男性:1349円(+6.0%) 女性:1095円(+2.7%)
60代後半 男性:1246円(+1.1%) 女性:1089円(+2.6%)

「短時間労働者の1時間当たり賃金 年齢階層別・男女別 (2018年)」「短時間労働者の1時間あたり賃金 前年比、年利階層別、男女別 (2018)」より抜粋)

産業別・男女別の1時間当たり賃金(2018年度)と対前年比上昇額 男性 • 製造業: 1230円(+26円) • 運輸・郵便業: 1260円(+51円) • 卸売・小売業: 1068円(+25円) • 宿泊・飲食サービス業: 1033円(+43円) • サービス業(他に分類されないもの): 1202円(+33円)
女性 • 製造業: 995円(+26円) • 卸売・小売業: 1019円(+23円) • 宿泊・飲食サービス業: 1002円(+36円) • 医療・福祉: 1287円(+29円) • サービス業(他に分類されないもの): 1083円(+21円)

(ガベージニュース「パートやアルバイトの時給相場は? 年齢別短時間労働者の平均賃金をグラフ化してみるより) 産業界全体で、男女ともアルバイトの時給が上がっていることから人手不足であることがわかります。 時給の増加率は、30代から40代にかけての男女の増額率は3%前後で推移しているのに対し、50代後半~60代前半の男性の時給は5%以上の増額となっています。 これらの数字から、各企業が、定年退職後に再就職を希望する高齢者を積極的に採用したいと考えていることが見てとれます。 また、男性の運輸・郵便業で時給が前年比51円増と、他業種と比較して増額幅が一番大きくなっています。この業界で人手不足がより、深刻であることがわかります。女性では、医療・福祉、宿泊・飲食サービス業などで雇用ニーズが高いことがわかります。これらの業種は、時給も他業種より高く、生活に支障が出ない範囲で、短い時間で稼ぎたい場合はおすすめの業種と言えます。

定年後のアルバイトにおける確定申告と税金について

多くの場合、退職後の生活は年金収入によって支えられています。会社員または自営業者など、それぞれのキャリアに応じて加入していた年金機関や加入期間が異なるので、受け取る年金額には個人差が生じます。 年金を受給すると「雑所得」扱いとなり課税対象となります。公的年金の受給総額が、65歳未満で108万円以上、65歳以上で158万円以上になると、所得税および復興特別所得税の課税対象となり源泉徴収されます。 もし、年金以外にも収入があれば、それらの収入との合計金額から、それぞれの収入に応じて適用を受けられる各種控除(国民健康保険料、配偶者控除、扶養控除、特定親族扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いた総額に所得税率・復興特別所得税率がかかる仕組みです。 本来なら、年金受給者は全員確定申告を行って納税の手続きをするのですが、この負担を減らすため、公的年金などについて「確定申告不要制度」があります。 この制度の要件は次の通りです。 ■公的年金などによる収入合計額が400万円以下で、かつ、その公的年金などの全部が源泉徴収の対象となっている。 ■公的年金などに関わる雑所得以外の所得合計(生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期仮戻し金など)が20万円以下。 もし定年後にアルバイトを始めたり、それ以外に家を売却して収入があった、家賃収入があるなど、公的年金などに関わる雑所得以外の所得金額の合計が、年金受給金額と合わせて月額20万円を超えると確定申告をしなければなりません</em >。

アルバイトでは年金との収入バランスに気を付けて

「動けるうちはいつまでも働きたい」という気持ちはあっても、65歳以降、年金収入で生活しながら働くと、収入額によっては増税となり、より多くの税金を払う事態になります。 また公的年金の減額対象にもなるため注意が必要です。 特に老齢厚生年金を受給し始めた後にアルバイトをした時、働いた金額に応じて、老齢厚生年金の受給額が減額されます(注:老齢基礎年金は計算結果に関係なく全額受給できます)。 60代前半で老齢厚生年金を受給している人が、その受給額とアルバイトで稼いだお金を合計して28万円を超えると、超えた金額の2分の1の額が年金受給月額から差し引かれます。65歳以降、その合計金額は47万円超となっています(注:2020年以降、60代前半の基準額28万円は、65歳以降と同額の47万円超に引き上げられる方針となっています)。 これを避けるため、老齢厚生年金の受給開始を70歳に繰り下げると、将来において受給する年金金額はアップしますが、65歳から受給した場合の年金総額を上回るのは81歳以降となります。

まとめ

高齢化社会が進む中、雇用環境や公的年金制度の改定など、老後の生活に影響する制度の見直しが進んでいます。今後仕事をリタイアする人たちは、日々変わるこれらの動向を注視しながら、自分の目的やライフスタイルに合った生き方を選ばねばなりません。 定年退職後も働く意思があれば、働き口はたくさんありますが、所得に応じて納税額がアップしたり年金が減額されるといったルールをしっかりと把握しながら職探しをすすめましょう