「人生100年時代」を私らしく、楽しく生きるということ【松井正義さんインタビュー①】
インタビュー

「人生100年時代」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
近年日本では、医療の進歩や健康意識の向上によって平均寿命が延び続けています。そして、老後の人生が長くなったことで「定年後も働き続ける」という選択をする方が多くなるとともに、起業や独立を目指す方も増えているのです。
一方で、定年後の人生で「好きな仕事をこの先もずっと続けていきたい」「自分らしく輝いていたい」という思いはあるけれど、アクションの起こし方が分からない。そのような悩みに直面し、起業や独立に踏み出せないという方も少なくありません。
起業を成功させるためには、何が必要なのでしょうか?
今回は、「90歳まで右肩上がりの人生を」というマインドで起業し、自分らしい生き方を謳歌する株式会社トトロエコンサルティング代表取締役の松井正義さんに、起業のきっかけや考え方について取材させていただきました。
働く人の健康と安全を守る安全衛生管理のエキスパート
株式会社トトロエコンサルティング
松井正義さん
労働安全衛生を専門に、労働衛生コンサルタントとして職場環境の改善をサポート。大手化学メーカーでの経験を活かした課題解決力と現場のニーズに応えた提案で企業を支える。
https://toto-hp.com
90歳までの人生を、自分らしく生きていく
「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」の著者であるリンダ・グラットン氏が提唱した「人生100年時代」という言葉に感化されて起業し「90歳まで現役で、労働衛生の仕事を軸に楽しく働く」ことを目標に掲げている松井さん。
起業後は、これまでのキャリアを活かして労働衛生コンサルタントとしてご活躍されています。
◾️労働衛生の分野で研究者を支えた会社員時代
Q:松井さんが労働衛生コンサルタントを目指したのはなぜですか?
私は新卒で大手化学メーカーに入社して企業内研究者としてのキャリアを積み、30代後半頃からは研究管理業務に従事していました。 労働衛生の分野に興味を持ちはじめたのは、管理職という立場で、労働衛生の観点から研究者を支えたいと思い始めたのがきっかけです。
作業場の環境改善や安全を管理するために必要な知識を備えた「衛生工学衛生管理者」という資格を取得した際に、労働衛生の分野最高峰の国家資格である「労働衛生コンサルタント」という資格があることを知り、さらに専門性を深めていくために受験を決意しました。
※衛生工学衛生管理者・・・(労働基準法によって定められている有害業務が発生する作業場において、衛生工学技術の知識を用いて作業環境の改善や点検、改善指導などを行う衛生工学の専門家)
Q:もともと、ご自身の定年後のイメージはどのようなものでしたか
会社にいた頃の私は、管理職という立場で現場の指揮をとりながら、プレイングマネジャーとしていくつもの業務分野を抱えていました。膨大な業務に忙殺される毎日で、当時は起業のことはまったく頭にありませんでした。
50代目前になって定年も少し意識し始めた頃には、これまで極めてきた労働衛生を主軸としたキャリアアップを図りたいという漠然とした思いはありました。しかし、自分の将来について具体的なことは何も考えられていなかったのです。
◾️「人生100年時代」に後押しされて挑んだ起業
Q:先が見えない中でも、起業を決意できたのはなぜですか
「定年後、どうするか。」 その答えがまだ定まっていなかった時に、リンダ・グラットン著「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という本に出会いました。
「人生100年時代」というフレーズの発端になったことで有名になったベストセラーであるこの本のことはご存じの方も多いと思いますが、まさに、長寿化の中で長い人生を生きることを前提とした人生戦略の指南書です。
リンダ・グラットン氏の働き方や生き方に対する考え方は、まるで私が頭の中でなんとなく考えていたことや将来のことを言語化してくれたかのようでした。この本を読んだことで、これまでぼんやりとしていた私の将来像が、徐々に明確になっていったのです。
そのおかげで、60歳で定年退職を迎えることが「人生のゴール」と当たり前に考える風潮に疑問を感じていた私が「90歳までの人生を考える」ようになりました。そして「会社人生を終えた後の新しいステージで、自分らしい生き方を自分で決める」ということの必要性を感じ、定年後も起業して現役で働くという人生を描き始めました。
起業の準備をしよう
起業に役立つ準備ってなんだろう?そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。”インプット”と”アウトプット”を大切にしている松井さんがやってよかったと考える取り組みをお聞きしてみました。
◾️インプットとアウトプットの繰り返し
Q:起業までに「やってよかったこと」はありますか?
私は普段から書籍を多く読む方ですので、共感した考え方や価値観のエッセンスを自分の行動に取り入れるようにしています。
先述した「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」はもちろんのこと、アダム・グラント著「ギブ&テイク」やハーミニア・イバーラ著「ハーバード流キャリア・チェンジ術」など、自分の人生や仕事への向き合い方を考える時に大いに役立つ本に出会えたことは本当に良かったと思います。
Q:逆に「こうすればよかった」というようなことは?
「こうすればよかった」と思ったらすぐに行動するので、何かしなかったことに対して後悔していることはありません。 会社員時代は、計画を立てることばかりに時間を取られてうまく行動に移せず結局計画倒れになることが多かったので、その経験を踏まえて今は、何事もすぐに試してみることを心がけています。
思い立ったらすぐに行動に移すという習慣ができたおかげで、あまり後悔しなくなりました。
Q:起業するうえで大切なことは何でしょうか
「自分の頭で考えて、行動を起こす」ということです。
実際に物事を動かしてみなければ何も始まりませんからね。 読書によって、これまでの自分になかった考え方や価値観を得ることができますし、新しい情報をインプットすることは自分の成長にも繋がります。
インプットしたことを自分の頭でよく考えて、仕事に活かしたり発信するなどアウトプットすることも必要です。
Q:松井さんはどのような場面で「アウトプット」されているのでしょうか
自身のホームページで定期的にブログをアップしているのですが、私が専門とする労働衛生に関する記事を書いたり、読んだ本のことを紹介したり、自身の気づきや勉強したことについて書いてみたり、日々インプットしているものをここでアウトプットしています。
私が定期的に開催している「コツコツ勉強会」の活動報告も行っていますよ。 じつはこのホームページ、コンサルタントの資格取得を目指す受験者サポートの目的で、独立前に自作で立ち上げていたものです。
ホームページの立ち上げは初めての試みだったので、最初は参考書を読みながらの手探り状態でしたが、実践していく中で運用方法を学んでいきました。 顧客と繋がったり情報発信するために欠かせないツールですので、ホームページの立ち上げは起業前からやっておいて良かったことの一つです。
◾️Webサイトでの情報発信が集客のカギ
Q:ご自身でホームページを立ち上げていたことで、起業後にメリットはありましたか?
時間はかかりましたが、これまでコツコツとブログ記事を積み上げてきたことが良かったと思っています。
今では多くの方に読んでいただけるようになり、私の発信に対するコメントや共感の声をいただく機会も増えました。 コンテンツを増やしていくことは、サイトの検索数を増やして集客力をアップさせるためのSEO対策として大切なことですし、コンサルタントとしての取り組みを認知してもらうことにも繋がります。
また、ブログなどを通して自分の専門性や特徴といった情報をわかりやすく発信することで、事業に興味を持ってもらえたり、考え方に共感していただくことで顧客になっていただける可能性もぐっと広がります。 起業する前であってもコンテンツの発信はできますので、早い段階から取り組んで、Webサイトをうまく活用していくと良いと思います。
◾️学びを支援する取り組みも実施
2022年から、通算400回以上にわたって「コツコツ勉強会」と呼ばれる勉強会を開催している松井さん。一体どのような取り組みでしょうか。
Q:「コツコツ勉強会」とは?
「日本一ハードルの低い勉強会」と自称しているのですが、参加者がZOOMで繋がった状態で、各自が自ら定めた勉強テーマに沿ってコツコツ勉強するだけの勉強会です。もちろん、どなたでも参加OKです!
ルールはただひとつ、1回あたり1時間の勉強会での目標をチャット欄に掲げて達成度を自己評価すること。なんだか変わっていますが、これが意外と楽しいんですよ。勉強の合間や終了後に参加者同志で少し話をすることで気分転換や情報交換もできますし、適度な緊張感のおかげで集中して勉強できると参加者から好評です。
日本全国から集まった人たちと、同じ時間に同じ空間で一生懸命勉強している。そのような一体感を感じることで不思議とモチベーションもあがるんです。勉強会の最中は私も皆さんと一緒に勉強していますし、労働衛生に関する質問があれば喜んでお答えしています。
Q:勉強会を継続されてみていかがですか?
皆さんで集える勉強の場をつくることでお役に立てている、というのが一番の良いことなのですが、じつは自分自身のZOOMの練習にもなりました。今はオンラインが主流の時代ですから、このようなツールを使いこなすスキルは必須ですよね。 また、参加者の方とお話ししていると、勉強がうまくいかないというお悩みや、何かしたくても行動に移す勇気が出ない、ということをよく耳にするんです。
そこで私が常に感じているのが「なぜ自分が前に進めないのか」「自分が本当に何をしたいのか」ということを分かっていない方が非常に多いということです。 自分自身のことには「自分で気づく」ことが大切なので、ご自身の本当の気持ちや、なにか物事が上手くいかない原因に気付いてもらえるように心がけながらコミュニケーションをとっています。
この勉強会が、皆さんが自分自身についての「気付き」を得られる機会になれればと思っています。
働くなら”生涯現役”がいい
Q:どのような気持ちで起業を進めてきましたか?
起業のための準備を進める中で、同じ分野を専門としている先輩コンサルタントの方々に出会う機会がありました。しかし、自分が理想とする生き方をしている人、つまり「90歳まで現役でバリバリ働くぞ」という意気込みをもつ人に出会うことがなかったのです。
ロールモデルがいないならば、自分の力で道を開くしかない。そのような気持ちで起業しました。 そして、私の姿がこれから起業を目指す50代以上の方々にとってのロールモデルになれればいいなと思っています。
自分の背中を見せることで、前に進んでいる人がいるから大丈夫だよと後押しできるような存在になれると嬉しいですね。
行動で示すことが何より大切だと思っていますので、私が起業して90歳まで頑張ろうとしている姿が誰かに勇気を与えられればと思います。
Q:モチベーションを維持する秘訣って何でしょうか?
人生100年時代のいま、定年である60歳をゴールとして設定してしまうと、定年後は右肩下がりの人生になってしまうと思いませんか? 「定年」を軸に人生やキャリアを決めてしまう必要は全くありません。
90歳をゴールとしておけば、定年後も右肩上がりの人生になる。そのようなマインドで、これからも自分のやりたいことをやっていく人生にしたい、という思いがモチベーションになっています。
50代となった今、若い頃に比べるとキャリアもあるし人生経験も豊富です。それでも「自分はまだまだ大したことない」という思いを常にもっています。そう思い続けているから、90歳まで右肩上がりを目指そうという考えになるのかなと思います。 そして、なにか新しいことを始めたり挑戦する時は「やってみなきゃわからない」というマインドで挑んでいます。行動を起こす時に不安はつきものですが、最初から大きいことをやる必要はないのです。
小さいことからで十分なので、まずは試してみる、すぐに取り組むという考え方を大事にしています。一歩踏み出してみることが重要なのであって、失敗すればまたやり直せばいいのです。そうやって行動することのハードルを下げると、すぐに動き出せるようになりますよ。
定年後を自分らしく楽しむために
今回の記事では、起業に必要なマインドや取り組みを松井正義さんの経験をもとにご紹介しました。これまでの仕事から開放されて自由になれる定年後こそ、自分らしく楽しい日々を送っていきたいですよね。
定年後に起業すると、長年のキャリアで培ったスキルや知識を活かせる仕事を選ぶことができるため充実感や楽しさを感じやすく、働くモチベーションも高まります。
定年後の働き方次第で、これからの人生はもっと豊かになるはずです。 まずは本当に自分がやりたいこと、実現したい夢を考えてみませんか?そして、あなたの経験やスキルを活かして、セカンドライフを輝かせるための起業の一歩を踏み出してみませんか。
あなたも、50代からのキャリアについて考えてみませんか?
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