シニア起業はクラウドファンディングを使おう!資金調達のすすめ【市勢善浩さんインタビュー③】
インタビュー
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から購入・寄付・金融といった形態で資金を集める仕組みのことです。
資金調達のために活用できるのはもちろんですが、新規事業の広告・PRやテストマーケティングにも有効な手法です。
今回のコラムでは、商品を購入するのに近い感覚で利用できる購入型のクラウドファンディングの活用について、フェイバニッツ合同会社代表の市勢善浩さんの例を見てみましょう。
資金集めだけじゃない!クラウドファンディングのメリット
金融機関から融資を受ける場合、一般的には担保や一定の自己資金が必要です。審査が厳しいことが多く、初めて起業する方は希望の額が調達できない場合もあるでしょう。
一方で、クラウドファンディングは自己資金の規定がなく、担保となる不動産等がなくても挑戦できます。また、資金調達にむけてプロジェクトを発信することが、自身の提供するサービスや商品の宣伝にもなるというメリットがあります。
◾️ブランドのPRと信頼性アップを狙える
Q:クラウドファンディングはどのように活用しましたか?また、メリットは何ですか?
FavorKnitsのニットジャケットは1着5万円前後ですが、立ち上げたばかりで知名度のないブランドの、しかも高額なジャケットをECサイトで買う人はなかなかいません。
そこで、ブランドの認知度や信用のアップを狙う目的でクラウドファンディングを利用しました。
私が利用したのは「購入型」のクラウドファンディングで、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を支払い、その対価として商品やサービスを得られる仕組みです。
クラウドファンディングには審査があり、一定の基準を満たさなければ出品できないことになっているので、プラットフォーム自体が信用できるものだと言えます。
そこに出品できるブランドということでお客様にも安心してもらえるのがメリットではないでしょうか。
◾️資金繰りの不安を解消する手段として
クラウドファンディングをうまく使うと受注生産に近い形態にできます。仕入れより先に売上が入るので、資金繰りの心配がいらないのが良かったです。
注意点としては、クラウドファンディングサイトによってユーザー層や市場規模、得意とするジャンルや活躍する起案者層の違いがあるだけでなく、審査の厳しさ、手数料なども異なるためリサーチが必要なことです。
一般的に大手サービスは取り扱いジャンルが広く、ユーザー数が多いため集客力が強くて実績も豊富である一方、中堅規模のサービスなら手数料が安いなど各社によって強み・得意なジャンルが異なると言われています。
よく吟味して、自社の商品や目標にふさわしいサービスを選ぶことが重要です。
共感されるストーリーでファンを集めよう
クラウドファンディングはオンライン上での資金調達なので、SNSとの相性が良いといえます。
さまざまなSNSを活用してプロジェクトの始動を発信し、拡散してもらい、公開前からファンを集めてコミュニケーションをとっておくことが大切です。
◾️毎日のSNS発信が顧客の心をつかむ秘訣
SNSを活用するうえで心がけていることはありますか?
私はEC販売でのビジネスなので、ECサイトを訪れてもらうためにFacebook、InstagramなどのSNSを活用した情報発信で集客を行っています。
会社のホームページを作っただけでは販売に繋がりませんので、毎日欠かさず投稿することを心がけています。
事業やブランドを認知してもらうためのコンテンツや商品の紹介を投稿するのはもちろんですが、実際に購入していただいた方の着こなし方を紹介したりもしています。
SNSは不特定多数のユーザーに対して情報を発信できますし、自分の投稿を拡散してもらうことでさらに幅広い層に認知してもらえる可能性があります。 導入コストがほとんどかからず、低コストでマーケティングを実施できるのも良い点です。
また、SNSを通じて相互にコミュニケーションを取ることで、提供する商品やサービスに親近感を持ってもらえる可能性が高まります。
商品やその裏側にあるストーリーや自分の思いに共感してもらうことができれば、顧客の獲得に繋がるはずです。
行動力を高める「きっかけ」は自分次第で作れる!
「起業したいけれど行動に移せない」ということはありませんか? 思いが強くても行動を起こせないという方は、じつはとても多いのです。
そこには、ゴールまでの道筋が見えず具体的に何をすべきか分からない、失敗を恐れて動き出せない、などのさまざまな理由があります。
「スキルがしっかり身についたら」「計画をきちんと練ってから」「準備万端になったら」と慎重に行動する方もいらっしゃいますが、万全の状態を目指しすぎて、いつまでたっても企業への一歩を踏み出すことができずにいるということはないでしょうか。
◾「きっかけづくり」が行動を起こすカギ
市勢さんは、自分の思いや考えを積極的に行動に移していますよね。行動を起こすコツってなんでしょうか?
特別なことはしていませんが、行動を起こす「きっかけ」作りを日頃から意識しています。
・おみくじの「運試し」でテンションをあげる!
私はよく神社に立ち寄っておみくじをひくのですが、そこにいい言葉が書いてあると行動を起こしやすくなるからなんです。
とくに”商い” の運勢が良いと「よし!やってやろう!」と、それだけでワクワクした気持ちになれますね。
おみくじに書いてあるちょっとした言葉の中に前向きなメッセージを見つけては、自分を奮い立たせるきっかけにしています。
些細なことですが、自分のやる気を引き出すのには十分です。
・同じ目標を持つ仲間を見つける
他の人が頑張っている姿を見ることで「自分も頑張らなければ」という気になります。
私はTOKYO創業ステーションでのセミナーを通して、起業を目指す方々との繋がりができました。皆それぞれに悩みや不安を抱えながらも、起業という目標に向かってチャレンジしています。 そんな姿にいつも力をもらっていました。
起業の準備は大変な時もありますが、うまくいかない時は1人で考え続けて落ち込むのではなく、仲間と一緒にチャレンジすることが大切なのではないでしょうか。
・やらざるを得ない状況に「追い込む」
追い込まれなきゃ動けないというタイプの方におすすめなのが、締切のあるものに応募して「絶対にやらなきゃいけない」状況を作ることです。
私の場合は、補助金の申請を行う際に提出する事業計画書の作成、各種申請書の作成、ビジネスコンテストの準備など、提出期限があるものに多数取り組みました。
「この日までに絶対にやらなければいけない」というものを用意すると、嫌でもやるしかないですよね。なかなか動き出せないという方にはかなりおすすめの必殺技です!
◾️失敗を恐れず起業を目指そう
シニア世代の方に起業のアドバイスをお願いします。
「考え抜いてから取り組むより、走りながら考えろ」ということを伝えたいです。
何事に関しても言えることですが、挑戦してみて上手くいかないことのほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
私が過去に事業に関する補助金の審査を受けた際は、書類選考で2度落ちて、3度目の正直で書類が通ったかと思えば面接で落ち、4度目のリベンジでやっと審査を通過…なんてこともありました。
最初は上手くいかず、何度もチャレンジしてやっとの思いで成功する。 人生において、そんなことは多々あると思います。
「定年後どうしよう」と悩むより、失敗を恐れず好きなことや楽しいことに挑戦する方が、人生が豊かになると思いませんか?
起業して必ずしも莫大な売り上げをあげる必要はないのだから、自分のノウハウを活かしながら楽しむのが一番です。 そして、悩みは1人で考え込まず、誰かに相談することが大事です。
家族でも友人でもいいし、創業支援施設を頼ればプロのアドバイスだってもらえます。 とりあえず何かに取り組んでみる、上手くいかなければやめて次に行く。
そうやって行動力を上げていく方が、新しいことに挑戦できますよ。
起業に近づくための大切な一歩を踏み出そう
今回のコラムでは、クラウドファンディングを活用した資金調達と行動を起こすためのコツについて、市勢 善浩さんの経験をもとにご紹介しました。
新たにビジネスを立ち上げようとする過程では、一筋縄ではいかないことも多くあることでしょう。
今成功している起業家の方々も、皆さんそれぞれの悩みがありながら試行錯誤し、苦労や失敗を経て一歩づつ成長されてきた方ばかりです。
それでも多くの方が起業を目標に掲げる理由は、これまで培ってきたキャリアや人生経験を活かせることや、自分が本当にやりたいことをビジネスにする楽しさ、自分らしい働き方で誰かの役に立てるという喜びに心が満たされるからではないでしょうか。
スタートは完璧である必要はありません。 自分の思い描く理想の働き方や、ビジネスにしたいことを形にするために、行動を起こしてみることが大切です。
「起業したい」という思いの実現に向けて、まずは一歩踏み出す勇気を出してみてください。
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