あなたの「人生ストーリー」を考えてみませんか?【松井正義さんインタビュー②】
インタビュー

これまでの人生や定年後の生き方ついて、深く考えてみたことはありますか?長生きすること自体はポジティブな印象を受けますが、老後が長くなることに不安を感じることもあるのではないでしょうか。
「自分はどうありたいか」
その答えはもう見つかりましたか?これからの人生では、過去の自分を受け入れて今後何をしたいのかを考えることで、本当の自分に向き合っていくことが大切です。そしてライフスタイルはもちろん、長い老後を生き抜くための新たな働き方を考える必要も出てくるでしょう。 松井さんが作成する「人生ストーリー」も、これからの人生を考えるための指標のひとつです。
50代、これからどう生きる?人生ストーリーのすすめ
松井さんが作成する「人生ストーリー」は、これまで築いてきたキャリアとこれからの人生の方向性を図にした、90歳までの人生のロードマップです。
◾️自分自身を見つめ直すことで今後の人生が開ける
「人生ストーリー」を作成した経緯を教えてください
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)という本に出会い、人生100年時代に定年をゴールとしないという考え方に共感したことで「90歳までの人生を考える」という明確な数値目標を持てたことが、人生ストーリーを作成したきっかけです。
労働衛生コンサルタントの資格取得後は休みなく働いていたため、自分自身を見つめる機会がほとんどありませんでした。そこで、独立する前に一度立ち止まり、自己評価も兼ねて過去の自分を振り返ってみようと考えたのです。
これからの人生の見通しを立てるために、自分の「これまでの人生」「これから築いていきたいキャリア」を明確にしたい。そこで、自分自身のキャリアや今後の目標を図化したものが私の人生ストーリーです。
「人生ストーリー」のしくみについて教えてください
人生ストーリーの中では、私がこれまで築いてきたキャリアを階層化することで人生の「ステージ」を設けています。 会社員の時の研究者時代を「ステージ1」、それを土台にした間接部門でのキャリアを「ステージ2」、労働衛生コンサルタントの勉強に励んだ時点を「ステージ3」、資格取得後を「ステージ4」、そして独立開業後の現時点を「ステージ5」と考え、今後さらにステージが上がっていく予定です。 そして、これまで会社の中で成し遂げたことや現在の自分の立ち位置、起業後の目標などを「自律型キャリア」「学び」「足場」「ポートフォリオワーク」というカテゴリで括って表しています。
人生ストーリーをもとに、各ステージで自分が何を成し遂げてきたのかを再確認しながら、これからどのようなことに取り組んでいきたいのか、どんな人生を送るのかという計画を立てることができるのです。
「人生ストーリー」を作成してみて、どのような人生を送ろうと思いましたか?
人生ストーリーを作成することは、自分自身を「見える化」することです。これまでどのような人生を歩んできたのか、この先どのように生きていきたいのか。過去を振り返りながら「人生の棚卸し」をすることで、自分が本当にやりたいことは何なのかが見えてきます。
私の場合は、これまで築いてきたキャリアを足場として「90歳まで現役で労働衛生の仕事を軸に楽しく働く」という自分が理想とする姿をしっかりとイメージすることができました。社会に貢献し、周りを幸せにする。そして、私自身も幸せに生きていくというのがこれからの人生のテーマだと思っています。
◾️人生の棚卸しをしよう
人生ストーリーを作成する際のポイントを教えてください。
まずは人生の棚卸しをしてみて、これまでの経験や成果、価値観などを整理して自分自身を見つめ直すことが重要なのではないでしょうか。 30代の頃の自分だったら、人生ストーリーは作成することができなかったと思います。
キャリアを積んで50歳をすぎて、今後やりたいことが見え始めて…そこでやっと形になりました。これまでの人生で得たものはたくさんあるのに、今の自分自身から目を背けてしまう人は意外と多いと思います。 しかし、過去を振り返ってみることで、自分自身の強みや、これからの自分にできること、将来どんなことをやりたいのかが明確になってきますよ。
せっかくなら”楽しく”起業したい
ご自身の強みは何でしょうか?
どんな境遇に置かれた時も、苦労を苦労だと感じない精神が私の強みだと思っています。これまで、他の人が「しんどいな」と思うことを私は楽しく考えるようにして生きてきました。 広範かつ多大な業務を捌いていた会社員時代には、もちろん苦労する場面も多々ありましたが、そんな過去の環境に鍛えられてきたおかげで、困難なこともポジティブな発想に転換するという習慣が自然と身に付いたのだと思います。
周りの環境や他人を変えることは難しいですが、自分の心の持ちようで物の見方を変えることはでききますよね。決して楽観視しているわけではありませんが「楽しいことをやろう」をモットーにして生きていると、物事は良い方向に進んでいくものです。
ここまで事業が拡大できた要因は何だと思いますか?
会社員として働いていると、好きな業務ばかりできるとは限りません。仮に自分の意思とは違うことでも会社の意向に従う必要がありますし、そもそも自分が好きなことを仕事にできているのかという問題もありますよね。
しかし、起業すれば自分が本当にやりたいこと、一番やりたいことだけに100%の力を注ぐことができるんです。今の自分の仕事が大好きで、好きなことを楽しく続けられている。そのおかげでここまでこれたのではないかと思っています。
ちなみに私はいつも「どうせやるなら楽しく」というマインドでいるので、関わっていくこと全てに常に楽しく取り組めていますよ。
経営者として心掛けていることはどのような事ですか?
起業したばかりの頃は自分本位になりがちでしたが、今は自分が関わる人に”いい風が吹くように”意識するようになりました。「この人に相談してよかった」と満足していただけるように、お客様ファーストを心掛けることを大切にしながら仕事をしています。
例えば私の場合はコンサルタントという職業柄、ご相談をお受けすることが多いのですが、企業が抱えている課題には解決方法として”技術的な答えがある”ものと、組織文化や人間関係を背景とした”明確な答えがない”ものがあります。
私は、表面的なことの解決にとどまらず「本当の課題や困り事に気づいてもらうための提案」を行い、そこに共感していただけるように努めています。ここに、会社員時代に研究者として積み重ねたキャリアや、管理職という立場から労働安全衛生や化学物質管理などに携わってきた経験値、社会人大学院生としての社会科学研究での学びが生かされていると感じています。
定年後も好きなことを仕事にするために
ご自身の可能性を広げるために取り組まれていることはありますか?
私は「90歳まで現役で労働衛生の仕事を軸に楽しく働く」ことを目標にしているので、そこまで健康で元気にいられるように体のメンテナンスを意識しながら生活しています。 我が家の愛犬トトとのお散歩が、いい運動になっています。
トトは、私が労働衛生の専門家の道を志した時からいつも支えてくれている、かけがえのない存在です。当社「株式会社トトロエコンサルティング」の社名の由来にもなっているんですよ。 そして、学ぶこと、何にでも興味をもつことを忘れずにいます。もちろん、自身の人生経験やキャリアは大いに活かしていくべきですが、経験豊富であっても、新しいことをインプットする必要がないとは思いません。
また、労働衛生コンサルタントという職業は専門性が必要だということもあって、学ぶ姿勢はいつまでも大切にしていきたいです。日々の学びを明日に繋げるという繰り返しによって、これからも成長を続けられるはずだと思っています。
シニア世代の方に起業のポイントなどのアドバイスをお願いします。
人生100年時代と言われる今、人生のゴールを定年である65歳としてしまうと、定年後は右肩下がりの人生になってしまうのではないでしょうか。しかし、本来は「定年」を軸に人生やキャリアを設定する必要はないのです。
定年退職後も好きな仕事を続けて良いはずですし、シニア世代を迎える私たちには、起業の強みとなる「人生経験」や「キャリア」が豊富にあります。 定年後は右肩下がりの人生になる、と思い込む前に、90歳をゴールに設定してみませんか?
そして、残された人生の長さを考えてみてください。自分の夢を追ったり、やりたいことをやるための時間は十分に残っています。 「自分はまだまだだ。」そんな思いを持つことができれば、定年後も右肩上がりを目指そうと思えるのではないでしょうか。
定年を迎えても、何歳になっても、これからやりたいことをやっていく人生にしましょう!
50代からの人生が面白い!
50代、60代からの起業は決して遅いスタートではありません。そして、これまで培ってきたスキルや経験、知識を武器にすれば、どんなことにも挑戦できるはずです。始めは誰もが不安を抱えていますが、近年は起業家を支える支援制度や機関が充実しているため、活用しながら準備を進めていくことでリスクを抑えながら起業することができます。
はじめから無理だと決めつけないで、やりたいことに挑戦してみませんか?あなたの考え方次第で、これからの人生はもっと楽しくなるはずです。
あなたも、50代からのキャリアについて考えてみませんか?
個人事業主・フリーランスとして活動中の方/活躍を目指す方へ。個人事業の可能性を拡げる「マイベストプロ」をご紹介します。
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