【起業事例】36歳で社内ベンチャーとしての起業を経て50歳を過ぎて独立。医療分野の技術コンサルタントとして保守、研修事業を核に。

インタビュー

50歳を過ぎてから医療分野の技術コンサルタントとして独立をしたMEテック・ラボラトリー合同会社の田中嘉一さん。助けてもらえる人脈を確保することが起業には大切だといいます。

田中嘉一 プロフィール 昭和63年 北里大学 衛生学部 卒業(臨床検査専攻)。臨床検査技師国家試験合格。日本ユニバーサル薬品(株)、日本光電北関東(株)、本光電コルテック(株)、日本ガイダント(株)を経て、平成13年に(株)アクセス入社。社内ベンチャーとして東京部隊で医療機器メンテナンスのアウトソーシング業を立ち上げる。上尾中央医科グループを中心に契約病院を23軒開拓。平成27年に同社を退社
。平成28年に個人事業主としてMEソリューションオフィスを起業し、平成29年MEテック・ラボラトリー合同会社を設立。

大学卒業時から「いずれは起業を」と考え、30歳の頃に現在の事業を構想

Q:起業を考え始めた時期を教えてください。

大学を卒業した頃から、いずれは起業したいという思いを抱いていました。実際に独立したのは50歳を過ぎてからですが、現在の事業のアイデアが生まれたのは30歳の頃です。 起業に向けて具体的に動こうと、当時の勤め先の上司に相談に乗ってもらっていたのですが、その方が会社を辞めて地方の会社に転職。その後「東京で新たに事業を始めるから来ないか」と声をかけていただきました。それが36歳の時です。その会社で社内ベンチャーという形で事業をスタートし、15年ほど続けました。

メーカー勤務の経験から、医療機器メンテナンスの事業を構想

Q:社内ベンチャー時代の事業内容も、現在と同じだったのでしょうか?

そうですね。私が考えていた事業について上司にも話していたので、その頃から自分が描いていた内容を実現できていたと思います。 具体的には、病院に向けて医療機器のメンテナンス代行業務を行っています。 上司が働く会社に移る前、私は医療機器メーカーに勤めていました。 そして、私が起業を考え始めたちょうど30歳の頃に「臨床工学技士」という医療機器のスペシャリストの資格ができましたが、資格設立から間もないため有資格者が不足していました。 当時の臨床工学技士は、透析装置の操作をしたり手術に立ち会ったりといった、臨床に関する業務が中心でした。本当は、これらに加えて医療機器の保守点検もしなければならないのですが、人材がいないこともあり「そこまで手が回らない」といった状態でした。そこで、そこをカバーすることを仕事にしようと考えたことが、現在の事業につながっています。 起業を意識し始めてからは、自分がいま構想を練っている事業は本当に需要があるのだろか。実情を知る必要があると思うようになりました。 現場のリアルな声を聞くために、仕事で関わりのあった都内の大学病院に出向き、臨床工学技士が在籍するセクションのチーフにお会いして話をうかがいました。みなさんに賛同していただき、「そんなビジネスがあるならぜひ頼みたい」といった言葉をかけてもらったことが、とても励みになりました。 しかし、同じようなことを考える人はやはりいて、現在この分野は業界内で飽和状態になっています。 病院向けのアウトソーシングサービスを提供している大手企業がいくつか参入しているので、それらの企業と競合しない小規模の病院を、社内ベンチャーの時代から対象にしています。

社内ベンチャーで自分が考えていた事業を実現

Q:社内ベンチャーを立ち上げてからから独立までの経緯をお聞かせください。<h/6> 上司から声をかけてもらった時、私は30代半ばで、そろそろ何らかの形で起業につながる行動をしたいと考えていた時期だったので、お誘いに対して迷いはありませんでした。自分が構想していた事業ができるという意味では起業するのと同じだったので、「長年の夢がかなった!」と燃えに燃えているという感じでしたね。 社内ベンチャーを立ち上げる際に「年商で1億円を超えるくらいになったら独立してもいいよ」という口約束をしていたのですが、その目標を達成した後も会社側の事情で、なかなか実現できない状態が続きました。 どうにか独立したかったので、上司と相談して事を進めようとしていたところ、話の行き違いが起きたようで、私が謀反を起こしたかのような受け取られ方をしてしまいました。結果、実質的に解雇のような形で会社を去ることになってしまいました。 退職の日程なども会社側の都合で決まってしまい、落ち着きなく会社を辞め、個人事業主として独立したのが50歳過ぎの時です。

独立する際は融資や補助金を利用して資金調達に注力

Q:独立するにあたって具体的にどんな準備をされましたか?
まずは資金調達です。医療機器のメンテナンスを行うために、特殊な測定装置などが必要になるのですが、それらをそろえるのに200万円くらいかかります。自己資金もそれほどなかったので、日本政策金融公庫からの融資と経済産業省による「ものづくり補助金」を利用して資金を確保しました。 また、新たな営業手法にも挑戦したいと考えていたので、ウェブマーケティングに関するビジネススクールにも通いました。具体的には、ウェブサイトを開設したりランディングページを作ったりといったことを学びましたが、こちらはまだまだ模索中という感じです。

起業して4年目くらいから事業が安定するように

Q:独立してから事業が軌道に乗るまでの流れをお聞かせください。
当初は、独立前に営業をかけていた病院から1件ご依頼をいただいていたものの、2件目以降を獲得するための準備もできない状態で、先が見えない不安がありました。 業務委託契約で友人が経営する医療係企業の営業をしながら、自分の会社の体制を整えた後、自社の仕事だけに絞ったのですがそれがうまくいかず、資金がどんどん減っていくという厳しい状況に陥りました。 転機となったのは、医療機器を輸入販売する商社から、「医療機器の修理をする『責任技術者資格』を持っている人材を探している。田中さんにお願いできないか」というお話をいただいたことでした。その会社が営業許可を取るために有資格者を雇用する必要があるとのことで、契約社員として仕事をさせていただくことになりました。このおかげで、生活はずいぶん落ち着きました。 さらにその後、その商社から外部委託契約で仕事をいただくようになり、会社としての売上も伸びていきました。 また、前職でおつき合いのあった病院の職員さんからも、「新しく病院をつくるので仕事を頼みたい」と声をかけていただき、国内の小さな医療機器メーカーから技術に関する業務を依頼されるなど、今は順調に事業運営ができています。 独立1年目は個人事業主としてスタートし、2年目に法人成りをしたのですが、軌道にのりはじめたのが会社として2期目くらい、本当に安定してきたのは3期目、起業してから4年目になります。

自分を必要としてくれる商社との出会いが転機

Q:軌道に乗るまでの間、試行錯誤があったかと思いますが何が功を奏したと思いますか?
先ほどお話しした医療機器を扱う商社との出会いが、私の事業に与えた影響は大きいと感じています。「自分を必要としてくれる人がいた」という事実がうれしいですし、偶然にもその会社の職員さんが大学の先輩だったので、なにかと目をかけていただきました。 途中、私の会社をM&Aで買い取りたいという提案もあって、一瞬、気持ちが揺らいだのですが、それでは結局またサラリーマンに戻ることになってしまうので、今は答えを出さずに保留にさせてもらっています。 現在は、人並みの収入が得られるようになったことで気持ちが安定しました。また、そのことによって新しいチャレンジもできるようになったので、とてもありがたいと感謝しています。

今後は新たな分野の技術職にも挑戦していきたい

Q:これからチャレンジしたいことはありますか?
「君は何者なのか?」と自問した場合、「自分に一番しっくりくるのは技術職だ。だから技術者だ」という答えが導き出されると思います。なので、今後も新しい技術を使った仕事を検討していくつもりです。 以前から、地球温暖化に歯止めをかけるために尽力したいという気持ちがあり、仕事としても取り組みたいといろいろ模索しています。 その一つとして、「森林情報士」という資格取得を視野に入れています。森林情報士は、ドローンで森林を空撮するなどしてデータを収集し、森林の実態を調査・分析するための知識や技術が習得できる資格です。 事象を的確に捉え、適切に対処していく。そういった作業が自分には合っていると思います。森林情報士を取る前に必要な資格などがあるので、現在は、そういった勉強も始めています。

人脈は宝。助けてもらえる人脈を確保することが大切

Q:起業を目指す方にメッセージをお願いします。
これは私自身も苦労したところなのですが、事業をスタートする前に「自分は一体何を売るべきなのか」「自分のセールスポイントは何なのか」ということを、きちんと定めておくことが肝要です。 これまでの実績や経験、養ってきたスキルを整理するんです。いわば「人生の棚卸し」ですが、実践しておかないと時間も資金も無駄に消費することになってしまいます。あわせて、事業資金を確保しておくことも大切です。 そして最後にもう一つ。自分が困っているときに助けてくれる人間関係を築いておくことは最重要ポイントだと思います。 昔の人脈を掘り起こしていくだけでなく、今の自分をサポートしてくれる新しい人脈も同時に開拓していきましょう。独立してからより一層「人は宝だ」と、つくづく思います。 調子がいい時に手伝ってくれる人はいますが、苦しい時に手を差し伸べてくれる人はそう多くはありません。また、そんな関係性を構築するのは簡単なことではありません。でも、常に頭に置いて、日頃から心がけていただければ幸いです。

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