【起業事例】外資系の企業人から一転、自動車や住宅関連のリペア職人として55歳で起業。世界基準の技術力を生かし、持続可能な社会に貢献する道へ

インタビュー

2021年2月よりリペア職人としての活動を始めた「トータルリペア鬼工房」代表の鬼澤隆之さん。偶然にも起業の準備期間と“コロナ禍”が重なったこともあり、これからの在宅生活にいっそう求められる技術で勝負できる道を選んだといいます。

鬼澤隆之プロフィール
2020年4 月 勤めていた外資系企業が日本法人撤退に伴い退職
2020年9 月 「トータルリペア鬼工房」登録。開設に備え、トータルリペアの資格取得。起業準備
2021年2 月 リペア職人として事業をスタート

勤めていた外資系企業の日本法人が撤退するのを機に起業を決意

Q:起業を考え始めた年齢と実際に起業した年齢をお聞かせください。

起業について意識し始めたのは50歳くらいのときです。当時勤務していた外資系企業でマーケティングを担当していましたが、同社の日本法人撤退が決まったのがきっかけでした

その後、ひとまず別の外資系企業に移ったものの、そこも数年たたずして日本から撤退することになったため、「これからは会社の都合に振り回されない生き方をしよう」と考えるようになりました。

思いきって退社を決意し、本格的に起業の道を探り始めてすぐの2020年春、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が起こったのです。

緊急事態宣言下での自粛期間、世の中の先行きが見えず焦りや不安が頭を過ぎることもありました。けれど、そういう時こそ起業に集中するよう心がけていましたね。

「世の中には自分でコントロールできることと、できないことがある。できないことを不安がっても消耗するだけ。今、自分ができることに集中しよう」。会社員時代にイギリス人上司から聞いた印象深い言葉です。そんなふうにコツコツと準備を進め、会社を辞めてから1年を待たず、55歳で「トータルリペア鬼工房」を開業することができました。

人生の折り返し点。これまでの人生とは違う業種に挑戦したいという思いを実現

Q:起業にするにあたって事業内容はどのように決めたのでしょうか?

長年、マーケティングに携わってきたことから、コンサルタントとして独立するという選択肢はありました。しかし「人生100年時代」とも言われる昨今、せっかく人生の折り返し点に立ったわけですから、新しいことにチャレンジしつつ社会貢献につながる事業で起業したいと思ったのです。

検討したことの一つに、訪問介護や配食サービスなどのフランチャイズチェーンに加盟する案がありました。

しかし、コロナ禍の影響もあって事業所を維持することや人材管理の難しさがネックに。最終的には、もともと車や自転車のDIYが好きだったこともあり、リペア・メンテナンスの専門技術を「トータルリペア」という世界規模のフランチャイズチェーンに加盟して習得する道を選びました。これなら「自分ひとりの腕=技術力」を磨き続けることで何歳になってもやっていけます。

また、今回新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によって多くの人がリモートワークをするようになり、住まいの快適さや、他者から隔離された移動手段として自動車への関心が高まりました。

今後は住居や車など、愛着あるこだわりのものをうまくメンテナンスしながら使い続けていきたい、というニーズがさらに増えるでしょう。

リペア職人としての仕事は、安易にものを使い捨てない、ものをつくり使う責任を考えながら暮らすSDGs(持続可能な開発目標)社会に貢献できると考えました。

技術向上だけでなく、作業効率も上げていくことで信頼をつかむ

Q:起業後の仕事で印象に残っているエピソードをお聞かせください。また、その体験から学んだことはありますか?

現在までのところ、私は前職からの人脈をいっさい頼りにせず、主に不動産管理会社やハウスメーカー、中古車販売会社などに地道に営業をして注文をいただいています

例えばWebサイトでアパート居室の原状回復作業などを請け負う新規パートナーを募集している会社を見つけ、アポイントメントをとって営業しにいくという感じです。

開業後の初仕事は、自宅近くの不動産管理会社からいただきました。依頼内容は、借り主が退去した後、部屋のフローリングを補修することでした。

当初は半日で仕上げる予定だったのですが、床一面に25カ所もタバコの焦げ跡がついていたことで1日半も作業時間がかかってしまったのです。結果的にはキレイに原状回復できたので喜んでいただけたのですが、作業効率の点では課題が残りました。

世界基準の「トータルリペア」の技術を習得したとはいえ、それをいかに予定の時間内で効率的に実践していくか。依頼主の方々から信用していただくためにも、施工前に綿密に作業工程をシミュレーションして準備を整えていくようになりました。

どんな仕事でもコアとなる“技術”を確立する努力を惜しまないこと

Q:起業したばかりの時期に特に大切にすべきことはありますか?

いきなり収益アップを目指すよりも、まずはお客さまの“ハート”をつかむための努力をすることが大切だと思います。お客さまが期待された以上のものを提供して信頼を得られるように、私は施工が入っていない日も技術向上のための訓練の時間を設けています。

開業から約半年、工房のホームページを公開してから、個人のお客さまからの注文も増えてきました。穴が空いてしまった自宅浴室の洗面台の補修、築16年のマンションルームの床と壁をつなぐ巾木(はばぎ)の欠損やクロスのはがれの補修など。「どこにキズがあったか分からないくらいキレイになりましたね!」。こんなふうにお客さまが喜ばれる瞬間が、何よりうれしいですね。

また、長年乗られている輸入車の革シートにできた裂け目の補修をオーダーされた時には、メーカーにシート素材の在庫が無いことから、かつて「トータルリペア」の技能研修でお世話になった講師に相談。研修センターに再度足を運び、基本講習では習わなかった革シートを縫う技術を学んで作業にあたったこともあります。古い車の内装補修はリペア職人のセンスが試される難しい作業ですし、準備にかけた労力と時間からも採算度外視でしたが、すごくやりがいを感じました。

ひとつひとつ違うリペア注文に対して、「どうしたら目の前のお客さまに満足してもらえるか」という視点で作業に臨むことはとても大事です。しかし、それも“確かな技術力”があってこそできること。どんな業種であっても、その仕事のコアになる技術を向上させる地道な努力やチャレンジ精神が、お客さまからの確固たる信頼を得ることにつながると思います。

やってみたいと何が正解か分からない。どの道でも悔いのない選択を

Q:最後に起業を目指す人にメッセージをお願いします。

私の場合、前職で培ったマーケティングの視点からコロナ禍以降の世相をある程度予測して、自分の趣味特技にも合ったリペア職人の道を選びました。

専門技術を学ぶ中で「これからの人生、この技術があれば仕事にやりがいが持てて、家族とも一緒の時間が持てる生活ができる」という確信を得られたことが、起業に向けて実際に動き出すモチベーションになりました

とはいえ、もともと私はやって後悔するより、やらずに後悔したくないタイプ(笑)。起業に限らず、何か新しいことに挑戦するときは「実際やってみないことには、その選択が正解だったかどうか分からない」と覚悟しているところもあります。

「これをやりたい!」と思うものがあるなら、損得勘定ばかりして動けなくなるよりも、自分の心に素直に従ってチャレンジしてみることが時には必要だと思います。

一般的に、子育てだけでなく親の介護にも対応していく機会が増える50代からの起業には、かなりのエネルギーがいります。気力と体力が求められるので、起業する本人が健康でないといけません。

私自身、起業してからは特に健康への意識が高まり、食生活の改善、睡眠時間の確保、運動は散歩・ストレッチ・スクワットが毎朝の日課になりました。これから起業を考えている人にとって、すべての基本となる健康的な体づくりは今すぐ始められる“起業準備”と言えるでしょう。

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