【起業事例】58歳で独立。人事部・管理職の経験からメンタルヘルスの重要性を認識しカウンセラーに

インタビュー

定年前に退職しカウンセラーとして独立した黒崎敏夫さん。人事部でのキャリアをベースに認知行動療法を利用し、不安障害や強迫性障害などの相談を受けています。

黒崎 敏男 プロフィール
1981年3月 金沢大学法文学部経済学科を卒業。同年4月住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)に勤務し、人事部厚生課長、北陸支店副支店長などを務める。2011年4月 株式会社プログレス、2016年8月 株式会社オネストのカウンセラーとして契約。2016年10月にカウンセリングルーム東山を開業。詳細

サラリーマン時代、職員の心理面をサポートしてきた経験を生かす

起業を決断するまでの経緯を教えてください。

私は大学卒業後、金融機関に勤務したのですが、人事部門に配属されたこと、また管理職として職員の福利厚生を担ってきたことから、メンタルヘルスの重要性を痛感していました。もともと心理学や対人援助に興味を持っていたので、心理学や認知行動療法など、心のケアに関する勉強を長く続けていました。そのため、これまで勉強してきたことや経験を、第二の人生で生かすことはできないだろうかと、40代の頃から考えることはありました。

サラリーマン時代は、メンタルの不調に苦しむ社員をサポートするため、また自らも仕事や健康面の悩みを抱えていたこともあり、シニア産業カウンセラーなどの資格も取得しました。しかし、どんなに勉強や経験を重ねても、会社の一員としての立場からは、一人一人の悩みに十分な対応をすることは難しいとの思いも持っていました。

そして50代となり、これまで会社員として30年間働いてきた結果、それなりの蓄えができたことも後押しとなり、これからは自分のやりたいことをやろうと決心。会社を退職後、メンタルヘルスの支援企業を経て独立し、金沢市内にカウンセリングルーム東山を設立しました。

私のカウンセリングで採用している認知行動療法とは、抑うつ症状、不安障害、強迫性障害などに対応して相応の高い効果を上げている療法で、最近ではストレスマネジメントとして活用されるなど幅広い分野で応用されています。

自宅の一部を仕事場兼カウンセリングルームにすることで起業費用はほとんどなし

起業する前にどのような準備をしてきましたか?

会社員時代は社宅に住んでいたため、自宅用に古い町屋を購入して改装し、その一部を仕事場兼カウンセリングルームとして利用することにしました。

自宅の購入とリノベーションには、時間もお金もかかりましたが、起業を目的として行ったわけではないので、開業費用はほとんどかからなかったと言えるでしょう。カウンセリングは机と電話があればできる仕事。だから、開業資金はそんなに必要ないのです。仕事場は小さいですが、静かで落ち着いたスペースです。

起業前には、カウンセラーとしての大先輩にあたる方に意見を求めに行きました。すると「カウンセリングは見かけほど楽じゃない。しかも、もうからない仕事だよ。やめておいた方がいいんじゃない?」と言われてしまいました。

確かに、人の悩みや精神的な問題に向き合うのはしんどいことですし、先輩は私のことが心配で忠告してくれたのかもしれません。しかし、そう言われたからといって、起業をあきらめる気持ちにはなりませんでした。

会社員として定年まで勤める選択肢もあったのに、カウンセラーの活動に専念するため早期退職したので、それ相応の覚悟はできていました。それに開業前から、メンタルヘルスの支援企業と契約して、カウンセラーとしての活動も始めていましたし。どのみち「厳しいことを言われたらやめよう」という程度の気持ちでは、起業しても続かなかったのではないかと思っています。

ただ、必ず稼げる保証がないのは事実ですから、自分はどんなリスクを、どこまでなら背負えるのか、起業前にしっかり考えないといけません。

サラリーマンは50代になると、早めに退職するのか、それとも最後まで会社に残るのか、決断する時がくると思います。私の場合は働かなくても生活できる金銭的なゆとりがあったこと、そしてカウンセリングは自分ひとりで、自宅でもできる仕事、つまり費用をかけずにできるという理由があったから起業に踏み出すことができました。

男性サラリーマン・管理職のみを対象としたカウンセリングを実施

クライアントはどういった人が多いですか?

企業の契約カウンセラーとしての仕事は今も続けていて、こちらでは老若男女、どなたにも対応しています。しかし自分のカウンセリングルームのクライアントは、企業や組織に身を置く男性サラリーマン・管理職のみとしています。

対象を絞ってしまうと、当てはまる人は限られてしまうので、クライアントの数は少なくなるかもしれません。しかし、何か特徴を打ち出さないと大勢の同業者の中に埋もれてしまい、カウンセリングを必要とする人たちに見つけてもらえない可能性があります。

私は長年サラリーマンをしていたので、そのプロフィールを前面に打ち出した方が、自分の個性や特徴が伝わると思いました。また、特徴を明確にした方が、クライアントも自分に合ったカウンセラーを探しやすいだろう。さらに言えば、ネットで検索しやすいだろうと考えました。

その特徴に合わせて、カウンセリングルームはサラリーマンが仕事帰りに利用しやすいように、夜間の時間帯のみ開業しています。

会社員だった自分の強みは男性サラリーマンが悩むポイントをつかみやすい点

カウンセリングの流れや面接の様子を教えてください。

ホームページの受付フォームから問い合わせの内容を確認し、予約を受け付けた後、インテーク(初回面接)では主に心身の状況やこれまでの経過を確認します。そして、必要に応じて記入式の検査を行います。

2回目以降からは、当日のテーマに沿った話し合いなどをしながら、不調の改善や効果の定着を目指していきます。相談の多くは「上司と合わない」「あの人と一緒に仕事をしたくない」といった職場の人間関係の問題です。

私には会社員時代の経験がベースにあるため、「なぜ、そう思うのか」「その人との関係をどうとらえているのか」など、男性サラリーマンの悩みのポイントがつかみやすいという強みがあります。そんな彼らの悩みに対し、話や意見、主張をしっかり聞きながら、対話を通して一緒に解決策を探り、課題を乗り越えることができるようサポートしていきます。

一般的に男性は、女性に比べて自分の悩みや心配事を打ち明けるのが苦手な傾向があり、一人で悩みを抱え込み、苦しんでいることが多いようです。しかし、勇気を出してカウンセリングに訪れた人たちからは「もっと早く来ればよかった」との声が寄せられています。カウンセリングを通して、クライアントの表情が会うたびに変わっていく様子を見ていると、仕事のやりがいを感じます

地元の勉強会、東京開催のセミナーに通って知識と技術を高める

仕事を続けていくためにどんな努力をしていますか?

北陸地方では、まだまだカウンセラーや心理職に就いている人の数が少なく、カウンセリングの利用者も少ないと感じています。

そこで2011年より「金沢認知行動療法研究会」という会を立ち上げ、大学教員、臨床心理士、保健師、看護師、精神保健福祉士、産業カウンセラーといった地元の専門家と一緒に知識や技術を普及する活動を行っています。今後もこのような勉強会を続けながら、専門家同士のネットワークを広げ、地元に貢献していきたいと考えています。

専門家として仕事を続けていくためには、常に最新の情報を頭に入れておく必要があります。会社員時代は東京に住んでいたので、気になる勉強会やセミナーがあればすぐに参加できたのですが、今は金沢市に住んでいるのでそこまで頻繁には出かけられません。

それでも2~3カ月に1度の割合で東京に行き、専門家向けのセミナーを受講しています。それがちょっとしんどいかな?という感じです。 幸い、少し血圧が高いことを除けば健康状態は良好なのですが、仕事に必要な体力を維持するため、スポーツジムに通っています。

自分を必要とする人に見つけてもらうためにはネット対策が重要

現在の課題と今後の対策を教えてください。

契約カウンセラーとしての仕事の一環で、研修講師も引き受けています。

新入社員向け、管理職向けなど、対象に合わせてコミュニケーションの取り方や問題が起こった時の相談の仕方、メンタルヘルスの基本的な知識を教えています。

現在は、自分のカウンセリングルームの仕事より、契約カウンセラーとしての仕事の方が時間も収入も比重が高い状態です。そのため、もう少し独自の活動を知ってもらうことが必要かもしれません。

開業後、最初のクライアントはさまざまな専門家が掲載されているWebサイトで私のページを見て問い合わせてくれました。自前のホームページも持ってはいるのですが、例えば「金沢市 カウンセラー」のような漠然とした言葉で検索している人が、自分のホームページにたどり着くのは難しい。

そのためにも、今後は力のあるメディアを上手に利用して、もう少しネット対策を講じていきたいと考えています。インターネットで相談先を探している男性サラリーマンに、自分のカウンセリングルームを見つけてもらうためには必要なことでしょうね。

やりたいことがあるのなら後悔がないように、自由に生きるのもいい

起業を考える人たちにメッセージはありますか?

一人で仕事をしていると、助けてくれる人は誰もいません。でも、誰からも指示はされないこのスタイルが私には合っています。会社員時代も組織のルールはわかっていたけれど、心の根底にはもっと自由に仕事がしたいという気持ちがありました。

年をとってもやりたいことがあるのなら、自由に生きてもいいのではないでしょうか。もちろんリスクはちゃんと考えて、周到な準備をしながら、夢・願い・趣味を大事にして、後悔のない選択をしてください。自分の力と責任で仕事をしていこうという独立心を持つ人には、起業は向いていると思います

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